オンチェーン金融とは?

オンチェーン金融とは、パブリックブロックチェーン上で行われる金融活動のことです。決済、外国為替、貸借、取引、そして債券やファンドといった資産の発行が、共有された台帳の上の取引として行われ、何層もの仲介者を通さずにプログラムで決済されます。24時間365日動かすことができ、数分で決済でき、条件をプログラムで組み込める金融です。

この言葉は、暗号資産の世界から金融業界や政策の場へと広がってきました。日本でも銀行や事業会社が、次の金融システムを語るときに「オンチェーン金融」という言葉を使うようになっています。国内初の信託型円建てステーブルコイン※であるJPYSCは、その最初の構成要素のひとつです。この記事では、オンチェーン金融とは何か、いまの金融の仕組みとどう違うのか、何から成り立っているのかを説明します。

従来の金融との違い

従来の金融では、銀行、証券会社、清算機関、決済ネットワークがそれぞれ別々のデータベースで価値を記録し、互いの記録をまとめて突き合わせています。オンチェーン金融では、すべての参加者が読める一つの共有台帳に価値が記録され、取引が起きるたびに更新されます。

この違いが、次のような差になって表れます。

  • 決済にかかる時間:銀行振込は数時間から数日かかることがありますが、オンチェーンの送金は数分で完了できます。
  • 稼働時間:市場や決済網は夜間や週末に止まりますが、ブロックチェーンは止まりません。
  • 仲介者:国際送金は複数のコルレス銀行を経由し、そのたびに時間と手数料がかかります。オンチェーンでは、ウォレットからウォレットへ直接価値が移ります。
  • プログラマビリティ:オンチェーンのお金には条件を付けられます。商品が届いたら支払う、売上を自動で分配する、双方の受け渡しがそろったときだけ取引を成立させる、といった具合です。
  • 透明性:取引が公開された記録に残るので、監査や照合が簡単になります。

オンチェーン金融は、規制や金融機関をなくすものではありません。規制を受けた銀行、信託会社、取引所が、現行法のもとでブロックチェーンを使ったサービスをつくっています。日本のステーブルコイン制度は、まさにそれを可能にするために整えられました。

オンチェーン金融を構成する4つの層

オンチェーン金融は、組み合わさる4つの層でできています。

ステーブルコインは現金の層です。 ステーブルコインは、法定通貨1単位と同じ価値を持つよう設計されたブロックチェーン上のトークンで、裏付け資産があり、額面どおりに償還できます。ステーブルコインがなければ、オンチェーンの市場には価格を付けて決済するための安定した単位がありません。JPYSCは、オンチェーン金融市場における円建て決済・流動性基盤の構築を目指しています(詳しくは円建てステーブルコインとは)。

トークン化資産は証券の層です。 トークン化とは、債券、ファンド持分、不動産、株式などの現実資産(RWA)を、ブロックチェーン上のトークンとして発行することです。トークン化資産はステーブルコインと同じ取引の中で売買と決済ができるので、約定から決済までの時間差をなくせる可能性があります。

スマートコントラクトはルールの層です。 スマートコントラクトは、条件を満たすと自動で実行されるブロックチェーン上のプログラムです。貸借市場や取引所、支払いスケジュール、エスクローは、どれもスマートコントラクトとして動いています。

ウォレットとアカウントは入り口の層です。 利用者はウォレットを通じて、オンチェーンの資産を保有し、動かします。最近のスマートアカウントなら、秘密鍵の管理や手数料用の別トークンの保有が要らなくなり、普段の金融アプリと同じ感覚で使えます。Startale Appは、この考え方でつくられています。

オンチェーン金融とDeFi、暗号資産の違い

オンチェーン金融は、ブロックチェーン上で決済される金融活動全体を指す広い言葉です。規制を受けた金融機関が運営するものも、オープンなプロトコルとして動くものも含みます。

分散型金融(DeFi)は、その一部です。自動マーケットメイカー型の取引所やレンディングプールのように、運営会社を介さずオープンなプロトコルとして動く金融を指します。オンチェーン金融には、DeFiのほかに、規制に準拠したステーブルコイン、銀行が発行するトークン化債券、登録事業者が運営する決済サービスも含まれます。

ビットコインやイーサなどの暗号資産は、ブロックチェーンに固有の資産です。オンチェーン金融を構成する資産の一種であって、全体ではありません。いまオンチェーンで動いている価値の多くは、ステーブルコインとトークン化された現実資産です。

日本が先行する理由

日本は、主要国の中でもいち早くステーブルコインを法律に位置づけた国です。2023年6月から、法定通貨と連動するステーブルコインは資金決済法上の電子決済手段として規制されており、誰が発行できるか、裏付け資産をどう管理するか、誰が販売や仲介をできるかが明確に定められています。

ルールが明確だからこそ、日本のオンチェーン金融は規制を受けた金融機関の手でつくられています。2026年6月24日に提供を開始したJPYSCは、SBI新生信託銀行が発行し、SBI VCトレードが流通を担い、Startale GroupがSBIグループと共同開発しました。提供開始の発表で、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は「金融機能のオンチェーン移行が不可逆的に進む中」と述べ、Startale GroupのCEO渡辺創太は、オンチェーン金融を「我が国においても極めて重要な戦略領域」と位置づけました。

必要な要素は、順番にそろいつつあります。規制に準拠した円建てステーブルコイン、円で決済されるトークン化資産、そしてそれらを誰でも簡単に持って使えるようにする消費者向けアプリです。

オンチェーン金融で可能になること

規制に準拠した通貨がオンチェーンに存在すれば、次のような使い方ができるようになります。

  • オンチェーン外国為替:円とドルのステーブルコインを、閉まることのない流動性プールで交換する。
  • 機関投資家向けレンディング:迅速かつ透明に決済できる円建ての借入・貸付市場。
  • トークン化資産の決済:トークン化債券の購入と代金の支払いを、一つの取引で済ませる。
  • クロスボーダー送金:コルレス銀行を介さず、数分で海外に円を送れる可能性。
  • プログラム可能な支払い:給与やサブスクリプション、ロイヤリティ、エスクローを自動で実行する。
  • エージェント決済:ソフトウェアのエージェント同士が、人を介さずにステーブルコインでサービスの対価を支払い合う。

今後の注目点

オンチェーン金融は、まだ始まったばかりです。大規模に信頼を得られるかどうかは、3つの点で決まります。一つ目はステーブルコインの質で、誰が発行し、何が裏付け、いつでも償還できるのか。二つ目は、価値を預かるコードとウォレットの安全性です。三つ目は、オンチェーン資産の税務や監督の扱いを、規制当局がどれだけ早く整理するか。日本は、発行体や裏付け資産のルールづくりで先行しています。残っているのは、パブリックチェーン上での流通に向けた関係法令・税務実務上の取扱いの整理です。ルールが明確だからこそ、日本では最初の二つを規制を受けた金融機関がつくっています。

※2026年6月24日(水)時点、各社調べ。日本の資金決済法上の「電子決済手段」として取り扱われる円建てステーブルコインのうち、信託型スキームにより発行されるステーブルコインとして。

よくある質問

オンチェーン金融とは何ですか?
オンチェーン金融とは、決済、外国為替、貸借、取引、そして債券やファンドなどの資産のトークン発行を、パブリックブロックチェーン上で行う金融のことです。取引はプログラムによって当事者間で直接、24時間いつでも決済でき、公開された記録に残ります。
「オンチェーン」とはどういう意味ですか?
オンチェーンとは、ブロックチェーン上に記録され、決済されることを指します。取引は確定し、公開台帳で確認でき、仲介者が持つ別のデータベースに依存しません。反対に、企業が自社のシステム内で記録する取引をオフチェーンと呼びます。
オンチェーン金融とDeFiは同じですか?
同じではありません。分散型金融(DeFi)はオンチェーン金融の一部で、運営会社を介さずに動くオープンなプロトコルを指します。オンチェーン金融には、規制に準拠したステーブルコイン、銀行が発行するトークン化資産、登録事業者が運営する決済サービスも含まれます。
オンチェーン金融と暗号資産は同じですか?
同じではありません。ビットコインやイーサなどの暗号資産はブロックチェーンに固有の資産で、オンチェーン金融を構成する資産の一種です。いまオンチェーンで動いている価値の多くは、ステーブルコインとトークン化された現実資産です。
オンチェーン金融でステーブルコインはどんな役割を果たしますか?
ステーブルコインは、オンチェーン金融の現金にあたります。オンチェーンの市場に、価格を付けて決済するための安定した単位を提供します。JPYSCは、日本のオンチェーン金融のための、規制に準拠した円建てステーブルコインです。
トークン化とは何ですか?
トークン化とは、債券、ファンド持分、株式、通貨などの現実資産をブロックチェーン上のトークンとして発行し、オンチェーンで保有、移転、決済できるようにすることです。円建てステーブルコインは、トークン化された円です。
オンチェーン金融は規制されていますか?
国や地域によって異なります。日本では2023年6月から、法定通貨と連動するステーブルコインが資金決済法上の電子決済手段として規制されており、発行できるのは銀行、信託会社、資金移動業者に限られます。
なぜ日本では「オンチェーン金融」という言葉が使われるのですか?
日本の銀行や事業会社は、規制を受けた金融サービスがブロックチェーンへ移っていく動きを、オンチェーン金融と呼ぶことがあります。既存の金融システムを、明確なルールのもとでオンチェーンに移すという日本の考え方を表した言葉です。

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